20110111

本の記録 / 失敗の本質(前半)

よく、マキャベリや司馬遼太郎の戦いの本を読む。
経営に大きく関係する。または、自分が過去に携わったリーダーという立場を反省しながら。


「失敗の本質 戸部良一 鎌田伸一 野中郁次郎ほか 中公文庫」


p37 (ノモンハン事件)作戦目的があいまいであり、中央と現地のコミュニケーションが有効に機能しなかった。情報に関しても、その受容や解釈に独善性が見られ、戦闘では過度に精神主義が誇張された。

p68 情報機関の欠陥と過度の精神主義により、敵を知らず、己を知らず、大敵を侮っていたのである。(中略)意見が対立すると、常に積極的を主張する幕僚が向こう意気荒く慎重論を押し切り、上司もこれを許したことが、失敗の大きな原因であった。

p97 先頭は錯誤の連続であり、より少なく誤りをおかしたほうにより好ましい帰結(アウトカム)をもたらすといわれる。(中略)相手がどのような行動に出るか、それに対してこちらが対応した行動がどのような帰結を双方にもたらすかを、確実に予測することはできないのである。

p139 本来的に、第一線からの積み重ねの反復を通じて個々の戦闘の経験が戦略・戦術の策定に帰納的に反映されるシステムが生まれていれば、環境変化への果敢な対応策が遂行されるはずであった。

p141 作戦計画の決定過程に焦点をあて、人間関係を過度に重視する情緒主義や強烈な個人を許容するシステム

p169 目的の単一化とそれに対する兵力の集中は作戦の基本であり、反対に目的が複数あり、そのため兵力が分散されるような状況はそれ自体で敗戦の条件になる。目的と手段は正しく適合していなければならない。

p221 ①聡明な独創的イニシアチブが欠けていたこと
②命令または戦則に反した行動をたびたびとったこと
③故郷の成功の報告を再三報じたこと (レイテ海戦の失敗)

p268 いかなる軍事上の作戦においても、そこには明確な戦略ないし作戦目的が存在しなければならない。目的のないあいまいな作戦は、必ず失敗する。大規模組織を明確な方向性を失ったまま指揮し、行動させることになるからである。

p274 作戦目的の多義性(二重の目的)、不明確性を生む最大の要因は、個々の作戦を有機的に結合し、戦争全体をできるだけ有利なうちに終結させるグランド・デザインが欠如いていたことにある

p275 グランド・ストラテジーとは「一国(または一連の国家群)のあらゆる資源を、ある戦争のための政治目的 ―基本的政策の規定するゴール― の達成に向かって調整し、かつ指向することである。(リデルハート 『戦略論』)

p.284 空気が支配する場所では、あらゆる議論は最後には空気によって決定される。

p.287 米海兵隊が水陸両用作戦のコンセプトを展開するプロセスは、演繹・帰納の反復による愚直なまでの科学的方法の追求であった。

p.291 本来、戦術の失敗は戦闘で補うことはできず、戦略の失敗は戦術で補うことはできない。とすれば、状況に合致した最適の戦略オプションのなかから選択することが最も重要な課題になるはずである。

p.293 戦略は進化すべきものである。進化のためには、さまざまな異変(バリエーション)が意識的に発生され、そのなかから有効な変異のみが生き残る形で淘汰が行われて、それが保持されるという進化のサイクルが機能していなければならない。

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