20110823

本の記録 / 思考の整理学

思考の整理学  外山滋比古  ちくま文庫


最近更新しておりませんでした。

今日は、「経営者が選ぶ本」などで時々挙げられる一冊を記録しておきます。

1986年に出版されたこの本は今なお読み続けられています。

パソコンが当たり前になった現在、記録や作品はEvernoteなどクラウドなどで残せて、いつでもどこでも取り出せるけれども、それを生み出す思考は自らが創りださなければいけない。そのための研ぎ澄まされた思考法が重要となってきます。

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~外国に、“見つめるナベは煮えない”ということわざがある。早く煮えないか、早く煮えないか、とたえずナベのフタをおとっていては、いつまでたっても煮えない。あまり注意しすぎては、かえって、結果がよろしくない。しばらくは放っておく時間が必要だということを教えたものである。 (p38)

一晩たって物事を考えるとすっきりしているっていう経験を何度かしたことがあります。筆者は努力してもできないことは、時間をかけ、無意識の時間を使って考えを生み出す、と述べています。このような姿勢でいいのだと、安心した気がしました。


A,B,C,Dのうち、BがXにもっとも近いからといって、XBという論をつくってはやはり、我田引水の感はいなめない。AもCもDも、それぞれ適度に参照しながら、新しい調和を考える。これによって独創はやせた線のようなものでなくなり、ふっくらした幹になる。(p46)
これ、学問とか思考についての項目だったんですけど、ライフスタイルについても参照になるのではと思いました。他人と接点を持つと必ず何か学ぶ所がある。 自分に近い居心地がいい人とばかり時間を過ごすのをやめ、垣根を越えて色々な人と時間を共に過ごす。学んだところを自分に取り入れていく。


「詩とは、もっともよき語をもっともよき順序に置いたものである」とのべた詩人がある。(p52)

思考(にとどまらず料理についても!)こうして、エディターシップをもって整理していく、と述べています。

寝させておく、忘れる時間をつくる、というのも、主観や個性を抑えて、頭の中で自由な化合がおこる状態を準備することにほかならない。ものを考えるに当って、無心の境がもっとも優れているには偶然ではない。(p59)
最初の引用と同内容ですが、この、「主観や個性を抑えて」 っていうのが大事なのだと思います。

思考の整理には、忘却がもっとも有効である。自然に委ねておいては、人間一生の問題としてはあまりにも時間を食い過ぎる。(p127)
 「知識はそれ自体が力である」(ベーコン)と言うけれど、ただ知識があるだけでは、すくなくとも、現代において力にはなり得ない。知識自体ではなく、組織された知識がないとものを生み出すはたらきをもたない。(p129)
すてるには、その人間の個性による再吟味が必要である。これは没個性的に知識を吸収するのに比べてはるかに厄介である。(p132)
思考は古くなる。なぜメモしたのかわからないようなものがある。
思考にふるいをかけて重要なものを残して、すてるものは捨て、整理していくという行動が重要なのだと改めて実感しました。

長く説明しなければならないほど、考えが未整理なのである。よく考えぬかれてくれば、おのずから中心がしぼられてくる。(p141)
うん。



日々の思考について、思考を研ぎ澄ませたものにするためににすてたり、寝かせたり、意識して「思考を整理」することの重要性を学びました。

思考の整理学 (ちくま文庫)

外山 滋比古 筑摩書房 1986-04-24
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