20150728

会社として

悩む 



店をやっていく中で、また会社を経営していく中で、時々すごく悩むことが有ります。

自分自身は会社のトップとして前進のベクトルで仕事をしています。

そして常に全体最適を考えて仕事をしているつもりです。


「街にフレッシュチーズを広めたい」


「新しい価値観を届けたい」


「よい会社を作っていきたい」


またチーズを作る職人としても掘り下げる作業を同時にしています。



ただ、ベクトルを進めるためにはもちろん一人では弱いしスピードも遅い。
そこでスタッフを雇用することになるのですが。。。


何度も同じことを注意しなければいけなかったり、その任せた仕事に打ち込んでいるのからかもしれないが部分最適な意見を言われたり、要求されたりする。

ベクトルが内向きの意見を言われたりする。

更に覚悟をしていてもスタッフが辞めてしまったりすると
(少人数の零細企業で一人抜けるダメージはものすごく大きい)

「なんだかなぁ」

と思うことがあります。これは経営者の方だったり、経営者目線で働いている人にはわかっていただけるのはないかと思います。(これまでの私自身の反省も込めて)



リバースして、また一からスタートしなければならない。

三歩進んで二歩下がる。


最近読んだ本、シリコンバレーの起業家でありベンチャーキャピタリストであるベン・ホロウィッツの「HARD THINGS」で起業家についてこう言っています。

どの起業家も、成功への明快なビジョンを持って会社を立ち上げる。驚くような環境をつくり、もっとも優秀な人材を集めてくる。力を合わせ顧客を喜ばせ、世界をほんの少しだけ良くするすばらしい製品を作る。どこから見ても最高だ。そしてビジョンを現実にするために昼夜を問わず働き、ある朝目覚めると、物事が計画通り進んでないことに気づく。(中略)現金は底をつき始め、ベンチャーキャピタリストは、迫り来る経済不況の中、資金調達は困難だとあなたに言う。ライバルとの戦いに敗れる。上得意の顧客を失う。卓越した社員を失う。 八方塞がりだ。どこで間違えたのだろうか。なぜ会社は思い通り動かないだろう。自分には経理能力があるのか。夢が悪夢へと代わり、あなたは苦闘の中にいる。 「人生は苦闘だ。 ー哲学者 カール・マルクス 」 苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと。

(中略)苦闘とは料理の味がわからなくなること。苦闘とは、自分自身がCEOであるべきだと思えないこと。苦闘とは、自分の能力を超えた状況だとわかっていながら、代わりに誰もいないこと。苦闘とは、全員があなたをろくでなしだと思っているのに、誰もあなたをクビにしないこと。苦闘とは、自信喪失が自己嫌悪に変わること。苦闘とは、苦しい話ばかり聞こえて、会話していても相手の声が聞こえないこと。苦闘とは、痛みが消えてほしいと思うとき。苦闘とは、不幸である。苦闘とは、気晴らしのために休暇を取って、前より落ち込んでしまうこと。苦闘とは、多くの人たちに囲まれていながら孤独なこと。苦闘とは無慈悲である。


「何のために会社をやっているのだろう?」

と思うこともあります。

よく紹介されている京セラ創業当時の稲森和夫さんのエピソードで以下の様なものが有ります。

 ところが、ようやく事業が軌道に乗り始めたと思った矢先、思いがけないことが起こりました。創業二年目に入社した高卒社員十一名が、突然団体交渉を申し入れてきたのです。血判状までつくって、将来に渡る昇給、賞与の保証を求めており、要求が認められなければ全員やめると言い出しました。私は、「できたばかりの会社で、毎日必死に働いて、なんとか会社を守っているのに、将来のことまで約束すれば嘘になる。とにかく、みんなが入社してきて心から良かったと思える会社にするために全力を尽くす」と答えました。(中略)
 こうしてその場は解決したのですが、その時、私は大きな重荷を背負ったと思いました。私は会社を「稲盛和夫の技術を世に問う場」と思っていたのに、新しい従業員たちは、会社に自分たちの生活を保証してもらうことを期待していたのです。
 稲盛さんほどのお方でもこう思うのだから創業期の悩みとしては間違っていないのでしょう。


なぜ会社をつくったのか



こうした悩みが出てきた際には「なぜ会社としてやっているのか」を見直す必要があります。

ただチーズを多くの人に食べていただきたいだけであれば1人や夫婦2人でやっていればよいのです。

なぜ会社としてやっているのかといえば、より多くの人に世に新しい価値を届けるために会社として組織で強くやっていきたいと考えているからです。

1人では何も出来ません。


だからこそ

四の五の言わずに強い会社をつくっていく。
スタッフが働いてよかったと思えるような会社を作っていく。


また、何度同じことを言っても出来ないのは、仕組みができていないからです。
スタッフがやめてしまうのもそんな環境ができていないから。


無印良品ではマニュアルが6000ページもあるといいます!

仕組みをつくり、誰もが働きやすい会社を作って行きます。


稲森さんの先ほどの話の続きです。


「会社の目的とは一体何だろうか」私は改めて考えざるを得ませんでした。しばらくの間、悩み続けた結果、私は会社経営の真の目的とは、エンジニアである私の夢を実現することではなく、従業員とその家族の生活を守って行くことだと気付かされたのです。その時から、私は「稲盛和夫の技術を世に問う」という当初の目的を捨て去り、京セラの経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と定めました。
私たちも、スタッフが在籍することで楽しみ、成長を実感できるような会社を作っていきます。


求人もしています。
http://www.cheese-stand.com/recruit/


20150716

ぼくがメディアに出る理由

小沢健二が好きです。
「LIFE」っていう懐かしいアルバムを最近聞くことがあるですが、やはりいい。

ただ、「ぼくらが旅に出る理由」という曲だけ、あまり好きでなかったのです。
なぜだろう。


そんなこんなを思いながらブログの件名を考えてみましたが、傲慢すぎますね。

「ぼくがメディアに取材依頼をして頂いた際にほぼほぼ断らない理由」という題名に訂正です。



ぼくがメディアに取材依頼をして頂いた際にほぼほぼ断らない理由


なぜ3年やってこれたのか②のブログでも書きましたが、


CHEESE STANDは

  • 渋谷でチーズという意外性・話題性
  • フレッシュチーズを主体とした専門店
  • 他にない業態
  • 奥渋谷という個性豊かな店のひとつ

ということで3年経ったいまでも雑誌、ラジオ、新聞など多くのメディアに掲載いただいております。
またオウンドメディアやSNSの普及でそこでも取り上げて頂いております。


大変ありがたいことです。


この3年間、依頼していただいた取材についてはほぼすべて快く受けてきました。


その理由はシンプルです。


私たちが

「街に出来たてのチーズを」

というブランドコンセプトを掲げているからです。


「街に」の街は、街で生活する人、飲食する人という意味も込めています。


多くの方に出来たてのチーズの美味しさを味わっていただきたい。


そのためには多くの方に存在を知っていただかなければならない。


「最近メディア出すぎじゃない?」

などとご助言もいただきます。


品切れなど迷惑をおかけする、商品にブレが出るようならストップしますが、幸いまだチーズ自体の生産余力はあるので、取材を依頼していただける間はまだありがたくお受けしてもいいのかなぁと思っています。


チーズ好きの方はご存じの方がが多くいらっしゃいますが、ある集まりなどに行って、自己紹介をするとまだまだお店を知らない方が多いです。


(僕がこんなにイタリアを好きなのに)イタリア好きの方でさえ、涙。


多くのお客さまに店の存在自体を知っていただくために、メディアの方に力をお借りする。


逆にほぼ唯一、飲食店の方向けの専門誌はお断りしてきました。


卸などは行っていますが、そういった雑誌は「繁盛店の作り方」や「回転率」といった飲食店目線の雑誌であり、ターゲットがそこではないからです。


ターゲットは、素材を大切にし、想いを伝えていただける飲食店さん。(そういったかた向けの飲食の専門誌はもちろん出させていただきました)


そしてそれを食べていただく多くのお客さまであるからです。


まだまだハレの日に食する機会が多いチーズ。これがもっと日常のものになる日を願い、日々チーズ作りに励んでいきます。


最後に


もし、今後もテレビで私やCHEESE STANDをテレビやその他雑誌で目にすることがあっても、「多くの方にフレッシュチーズを日常食にさせたいんだなぁ」と温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


メディアの方々、もしこのブログをご覧でしたら今後ともよろしくお願いします。
m(__)m



20150702

初夏のエロうま(野菜)タルト/藤川


お店のブログでも書かせていただきましたが、個人のほうでも。

先週、久松達央さん(以下、久松さん)と山内千夏さん(以下、千夏さん)と一緒にイベントをやらせていただきました。

経緯


久松さんとはスクーリング・パッドという学校つながりで、もともとその存在は知っていました。その後、2013年に発売された「キレイゴトぬきの農業論」を拝読し、おこがましいのですが共感するところが以下のように多々ありました。
  • (農業など)既存の体制に対して戦っている
  • 論理的、合理的な考えを持っているのと同時に「キラリとした何か」や「エロうま」など感覚を大切にしている
  • ITやSNSを駆使している
  • 情報をオープンにすることを大切にしている
  • スタッフと共にがんばっていらっしゃる

イベントに参加させていただいたのがきっかけで知り合うことができ、農園も見学させていただきました。


千夏さんは、もともとヨメのレストランのつながりでCHEESE STANDにも足を運んでくださっていました。


また千夏さんのおかげで伊勢丹新宿店の有名シェフが交代で監修されるキッチンステージにて、鎌倉binotの阿部シェフやパッソ・ア・パッソの有馬シェフに素材でチーズを使っていただきました。


とても温かく優しい雰囲気な方なのですが、しっかりと芯をもっていらっしゃり、素敵だなぁと。


久松さんと飲んだ際に、「何かやりたいね」という話になり、千夏さんが「トルタ・サラータ」という本を出版されたばかりだったので、「久松さんの野菜と僕達のチーズを使ってトルタをつくってもらおう」と考えたのが今回開催に至ったきっかけです。


そんなお二方のファンである私としては、とても嬉しいイベントでした。

お二方とトークイベントもさせていただきましたが、これも面白かった。


久松さんのトークは人を引きつける魅力がある。多分すごく勉強されていて、実証され、裏打ちされた経験で話されるからだろう。千夏さんの言葉もストンと落ちる。醸しだされる優しいお人柄から、よく聞かれ、発せられる言葉は強く的確です。

すべて勉強です。


メモ


久松さんと千夏さんの言葉で心に残った事をメモ


「何かをやり始めるときは、内でなく外にいる人に聞かなければいけない」


「見切り発車で良い」


「バスを走らせたものはバスをおりなきゃいけない」


「バスに乗せる人は早い人を選ぶ、追いつけないくらいの」


「広める側より応援する側でいたい」


「ズッキーニはエロうま」

「ズッキーニのこのあたりがエロい」と久松さん(ウソ)